親子のための読み聞かせサロン「sabo cafe」を運営する 原野 英子さん 上飯田町在住 51歳
読み聞かせを文化に
○…親子5組が入ればいっぱいになる小さなビルの一室に、読み聞かせサロン「sabo cafe」がある。歌うように読み聞かせが始まると、ある子は母親の膝の上に座りながら、ある子はおもちゃで遊びながら、自由な空間で読み聞かせの時間を楽しむ。「数百円あれば絵本を買うよりカフェに行くことを選ぶ母親がいる。だったら読み聞かせのカフェに親子で来てもらえたら」。この思いが創設の原点。
○…カフェは読み聞かせ担当、通称「読み屋」の阿部さん、山原さんと3人で運営。自身は広報や企画を担当する「書き屋」としておはなし会の企画や助成事業の申請など、読み屋2人の思いやつぶやきを形に変え、発信する。これまでのおはなし会のテーマは英語や音など。「今は不定期で完全予約制ですけど、定期的に開けるようにしたい」
○…思いつくと熱くなる性格。子育て中、ふつふつとわいていた教育への情熱が「ゆとり教育」のスタートで爆発。「このままでは私の子たちはダメになってしまうかも」と自宅に子どもたちを集め、ボランティアの塾を始めた。だんだんと通う子どもが増え、本格的に塾を開くようになると、我が子をかまえない時期もあった。だが、「無気力だけど賢い」長男、「勉強が苦手だけど努力家」の長女、「破天荒だけど前向き」な次男……個性豊かな3人の子どもたちも立派に成長。それぞれのことを話す姿からは熱い愛情が感じられる。
○…「実は特別絵本が好きというわけではないんです」と打ち明ける。「でも阿部ちゃんの笑顔と楽しそうな読み聞かせに惹かれて――」。今まで勉強だけでは足りないと感じていた「何か」が絵本だと気付いたという。人の心を育て、幸せにする力がある絵本。英語には「読み聞かせ」に相当する言葉がないようで「東京五輪までに『ヨミキカセ』を文化として育てて、世界中に発信したい」と目を輝かせる。
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