県立境川遊水地公園の情報センターに展示されているネイチャークラフト作品が話題となっている。職員たちが草木や石、貝など、公園内で採集できる材料を使い制作したもので、始めてから早8年。季節感を表現する愛嬌たっぷりの作品が来場者を和ませる。
館内の至る所にある作品の数々。メーンの展示場所は、来場者の多くが立ち寄る受付のとなりにある。定期的に作品を入れ替え、楽しみにしている”ファン”も多い。現在のテーマは「ひな祭り」で、かわいらしい作品がズラリと並んでいる。
お正月やハロウィン、アイドルグループ…。作品のテーマはさまざまだ。材料や組み合わせ次第で、同じテーマでも雰囲気もキャラクターも全く違った印象に仕上がるのが面白さ。「毎年違うものをと、いつも机いっぱいに材料を広げて考えています」と話すのは、制作者の木村聖子さん(藤沢市在住)だ。
開館した年に受付で働き始めた木村さん。当時の管理人に「これで何か作ってみて」と渡されたのがマツボックリなど、ネイチャークラフトの材料。経験もなく、最初は戸惑ったが制作をスタート。我流ながらも画用紙で目を作るなどして、かわいらしいキャラクターに仕上げた。以来、学びと工夫を繰り返し、8年かけて作り溜めた作品は自身でも数がわからないほどにまで増えている。
キャラクターの表情やストーリーを考えることも作業の楽しみの一つ。「例えば地球温暖化の会議をテーマにしたときは、この国の人はきっと怒っているだろうなとか、あの国の人は……という感じで。どんな子にしようか性格を考えるのが楽しくて」
ふわふわとしたオギの穂で作ったフクロウに、名前の通り数珠のようなジュズダマの実を使ったひな人形、過去には人の背丈ほどもある特大クリスマスツリーをクズのつるで土台作りから挑戦したこともある。これまで使ってきた材料は、公園内のものだけでも数十種類。角の取れた丸い石も、ふわふわとした綿毛が付いた種も「かわいい」とうっとり。植物について専門的に勉強した経験はなく、「特段詳しくはないんです」と笑うが、今では、来場者向けの教室を定期的に開くほど腕が上達。公園のイベントとしても定着してきた。
寄付の申し出も
材料を寄付してくれる協力者も増えてきた。奄美大島で拾った巨大なマツボックリや、海岸で集めてきた宝物の貝…。「ここなら大切に使ってくれると思って」と入院前に来館し、託してくれた人もいたという。「好評なので、このまま続けてもらえたらうれしい」と福留晴子副園長。
人気の一方で、まれに作品の一部がなくなってしまうことがあるのが悩みのひとつ。「理由は分からないけど、どこかにお嫁に行っちゃったのかしらね」と目線を落とす。「私も始めてみた」「和みますね」といった来場者の声が制作の原動力。「お客さんに喜んでもらえるのが一番」と木村さんは笑みを見せる。
年に5回開催しているクラフト教室。材料に使う植物の解説や、実際に外へ材料採集に出かけることもあるという体験型で人気を博す。次回の開催は2月21日(日)。和紙を使ったひな人形づくり。午後1時半開始で参加費200円。対象は小学生以上。先着20人。申し込みは同館【電話】045・805・0223。
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