40周年を迎える相模新橋剣友会の代表を務める 藤田 定良さん 新橋町在住 79歳
剣の道で心磨く
○…40年前、目に余る青少年の不良化を防止しようと立ち上げられた相模新橋剣友会。会社勤めをしながら仲間と3人で始めた道場には、多いときで50人ほどの子どもたちが通った。数は減ったが、練習場所の体育館には子どもの元気な声が響く。第一に指導するのは、勝つことよりも礼儀作法。「人として心の持ち方が一番大切。先生や仲間、練習場所への感謝の気持ちは忘れちゃいかん」。面の下につける手ぬぐいに書かれた「心」の一文字にもその思いが詰まっている。
○…一世を風靡した『鞍馬天狗』の嵐寛寿郎の立ち回りにあこがれていた子ども時代。剣道に興味はあったが、当時は進駐軍の非軍事化政策により武道ができなかった。時が経ち、ようやく剣道ができるようになった18歳のころ、勤めていた日本鋼管の剣道部に入部。「竹刀の使い方も何も分からない状態。若いからか、厳しい先生にかなり”かわいがられた”なあ」
○…23歳で結婚するも、仕事が終わると会社の剣道部、その後は他の道場へ――と剣道漬けの毎日。1日4時間ということもざら。「おかげで昇段も早かった。でも、女房には今も昔も『剣道と私どっちが大切なの』と言われますよ」と笑みをこぼす。退職した今は物づくりやプランターでの野菜作りも趣味の1つ。「花もいいけど、せっかく育てるなら実のなるものをね」。収穫時は喜びもひとしおだ。
○…泉区剣道連盟の会長を務めて今年で6年目。段位は合格率わずか数%と言われる教士7段だ。2年前に腰の手術をしたが、稽古の時間になると10kgもある愛用の防具と竹刀を携え、颯爽と登場。「最近はもっと軽くて良い防具もあるけど、やっぱりこれがいい」。歳を重ねても続けられるのが剣道の良さと語る。「90代でもできる生涯スポーツ。心も体も鍛えられる。ここでは私が最年長だけど、まだまだ子どもたちには負けていられない」。凛とした瞳で道場を眺める。
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