30周年を迎えた泉区民謡連合会の理事長を務める 今野 峰忠さん 新橋町在住 78歳
日々の研鑽に終わりなし
○…理事長に就任し、10年。連合会も区と同じく30周年の大きな節目を迎えた。先日開催した年次大会チャリティーは所属する11の会が一堂に会する年に一度の大舞台。今年ものびやかな歌声や力強い三味線の音色で観客を魅了した。高齢化が顕著だというがベテラン勢に混じり、子どもや外国籍の出演者の姿も。会員不足に悩む会も多い中、新たな弟子を増やそうと精力的に活動する人には「体力も勇気もあり、すごいこと」と敬意を表する。
○…宮城の農家出身だが、自身は15歳で田舎を離れ上京。「高校の教科書も用意した後だったから、親に迷惑かけちゃったな」と振り返る。養成工として働き、技術を身に付け、その後結婚。しかし勤務は3交代で、家族と生活リズムが合わず「一人の時間を使って何かを始めたい」。そんな時に出会ったのが民謡。故郷でもよく聴き、なじみ深かったこともあり、会社の民謡部に飛び込んだ。
○…25歳で始めた民謡だが、研究熱心な性格もあり、上達も早かった。初めて出場した県協会本部の大会では3位に入賞。翌年には優勝し、29歳で後進の指導を任されるようになった。民謡と同時に、独学ではうまくいかずに「しばらくほっぽっていた」という三味線の勉強にも本格的に取り組み始めた。その後、38歳で「峰忠会」を発会。多い時には弟子80人を抱える大所帯で、仕事の合間を縫い、週の大半を民謡と共に過ごしてきた。
○…一時は声をかければすぐに人が集まるほど身近で人気だったという民謡。しかし、近年は会員の高齢化と入会者の減少が悩みの種。伝統文化を後世に引き継ぐための体制づくりも必要と考え、今も自ら袴姿で舞台に立ち、その魅力を伝えている。年上の弟子が新曲に挑戦しようと稽古に励む姿は、何より自身の背中を押している。「弟子の稽古が自分の稽古。教えることで一緒に学んでいる。終わりはない」
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