中田東在住のピアニスト・丹生谷(にゅうのや)佳惠さんが中川地区センターで毎月開催している「クラシックコンサートと音楽アラカルト」が2月19日に第100回を迎える。息遣いが分かるほど近い距離で、気さくなトークとともにプロの演奏を楽しんでほしいという思いは第1回から変わらない。
「ここに来ると落ち着く。お客さまに見守られているようで温かい」。8年4カ月にわたり、一度も休演することなくコンサートをプロデュースしてきた。会場はプロが普段立つ音楽ホールではなく、中川地区センターの奥にある「研修室」。音楽用の造りではなく、一度に入れる人数もギリギリで約80人。だが、出演してきたのは丹生谷さんをはじめ、国内外で活躍するプロの音楽家ばかりだ。
回数を重ねるにつれ、増していったのは「地元の人たちのために」という思い。「100回はあっという間。続けてこられたのはお客さまや周りの皆さまがいたから。次は10周年ですね」とまだまだ意欲的。第9回まではグランドピアノではなく、アップライトピアノを使って演奏。チラシやチケットも当初はシンプルなものだったが、今ではテーマなどに合わせた華やかなデザインのものをスタッフが製作している。地区センターを運営するNPO法人中川コミュニティグループの西ヶ谷保秀理事長は「毎回大盛況で皆さんからの期待も大きい。身近な施設でこんなにも長い間素晴らしいコンサートを開いていただきうれしい」と話す。
心の距離も近く
元々「近い距離で音楽を気軽に楽しんでもらいたい」という思いで、病院内でコンサートを行っていた丹生谷さん。その活動を知った当時の館長に頼まれ、地区センターでのコンサートを始めた。初回から大切にしてきたのは、客との距離。一方的に演奏するだけのものにはしたくないと、楽器紹介やトークの時間も必ず設ける。「多いときは私の後ろにまで席を作ります。間近で演奏して、お話も楽しんでもらう。交流が大切」。席だけでなく、心の距離が近いのも人気の理由の1つ。
この距離感は演奏者にとっても新鮮だという。これまで出演してきた音楽家は皆、数百人、数千人規模の音楽ホールでの演奏が多い有名どころばかり。「こんなに近くで聴かれることはなかなかないですから、中にはもう少しお客さんと距離開けられないのって聞く人もいるくらい。でもお客さまの反応がよく分かってうれしいって皆さんおっしゃいますよ」と丹生谷さん。
多方面で活躍する実力者たちにも関わらず、地区センターのミニコンサートに出演してくれるのは、丹生谷さんの広い人脈に加え、コンセプトが共感・理解されているからに他ならない。「想像以上に楽しかった。また誘って」という”常連”や、話を聞き「今度は自分も」と立候補してくれる人もいるという。
通常、ピアニストは、伴奏をする楽器の種類をある程度しぼり、定番曲などを練習しておくことが多いというが、丹生谷さんの場合まったく限定せず、管楽器・弦楽器・打楽器・歌等なんでもあり。初めて知る曲も何曲もあったという。「あれもこれも勉強したいという姿勢で臨んでいます。おかげでレパートリーもかなり増えました」と笑う。
追加公演も決定
記念すべき2月19日(日)開催の第100回は「夢の共演〜室内楽の楽しみ〜」と題してお届け。ピアノの丹生谷さんに加え、ヴァイオリンの青木るね、ヴィオラの村松伸枝、チェロの迫本章子、コントラバスの甲斐澤俊昭の4氏を迎えてのコンサートだ。
チケットは、販売からわずか2日で完売。想定以上の人気ぶりに、急きょ午前中の追加公演が決まった。公演内容は午後と同じで、神奈川フィル・東京フィルの奏者ら4人との室内楽。時間は午前11時半からで、前売り大人1000円。
問い合わせは同センター【電話】045・813・3984。
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