「ウメ子」展を開催する日本画家 勝山治実(はるみ)さん 原宿在住 48歳
描きたい、いのちの光彩
○…国登録有形文化財である清閑亭(小田原市)で9月14日(水)から19日(月)まで、個展「ウメ子」を開催する。小田原城址公園内の動物園で、60年にわたり市民に愛され、一昨年、62歳の生涯を閉じた象・ウメ子。人間なら100歳にもなる、いのちの年輪に心を寄せ描いた日本画約20点を展示する。「動物画というより、肖像画として描きました」と、目を細める。
○…横浜生まれの横浜育ち。幼いころから動物好きで、犬、チャボ、十姉妹(じゅうしまつ)、金魚に鯉と、大切に育てた。朝から晩までデッサンに明け暮れた密度の濃い浪人生活を送り、二度目の受験で金沢美術工芸大学に入学。「実は、浪人時代によく描いていたのが、地元の野毛山動物園で50年以上親しまれてきた象・はま子だったんです。『いつか作品にしてあげるよ』と約束したのに、2003年に老衰で亡くなってしまって……」。わだかまりを払拭しようと筆をとったのは07年。はま子と同世代のウメ子を2年越しで描いた縦2m超の大作は、神奈川県展に入選。ウメ子は会期中の09年に老衰で天寿を全うしたが、その後も「ウメ子は何を考えてきたのか、どんな出会いを重ねてきたのか」キャンバスに問い続けた。今回は、銀座・みゆき画廊に続く二度目の「ウメ子」展だ。
○…「技術やセンスはない。個性的でもない。ただ、奇をてらわずにコツコツと描いていきたい」。訥々(とつとつ)とした語りに優しさが薫る。墨絵、絵巻物、現代画など「狭いようで広い」日本画の可能性を模索する日々だ。08年からは港南区に絵画教室「あとりえカツヤマ」を構え、子どもからシニアまで幅広く手ほどき。同じ日本画家の妻と交代でアトリエを使うため、自身の創作時間は3〜4時の早朝という。
○…お酒は毎晩、ちびちびとたしなむ程度。絵画以外の趣味や関心を尋ねてみたが天井を見つめて「……」。夢中で被写体と向きあい、無心で描いている時間が至福の時、と笑う。
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