思い出の品に 新たな命 上矢部町の諸星さん 裁縫の技術生かし
娘が幼稚園生のころに着ていた洋服や、亡き義父が闘病中に着ていたパジャマなどを、テディベアやキルトに作り変え、思い出に囲まれて生活を送る。上矢部町の諸星流美子さん(52)は「思い出の詰まった物をできる限り使い続けたい」と、裁縫の技術を生かし、思い出の品を他のものに作り変えている。
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幼いころから、当たり前のように続けてきた裁縫だが、その評判は友人から次第に広まり、今では裁縫教室を開く傍ら、「結婚式のウェルカムボードを作ってほしい」「遺品を作り変えてほしい」と、依頼を受けることも少なくない。
遺品を作り変える時は、「故人の人柄」「子どもの人数」「何の仕事をして、どんな生活を送っていたか」など、細かく打ち合わせをして、作るものを決める。そして、完成した作品には、家族構成、故人の干支、亡くなった時間なども縫いつけられ、家族が見る度に思い出がよみがえるよう工夫されている。「これもひとつの供養の形だと思うんです」
諸星さんにとって裁縫の思い出は、小学6年のころまでさかのぼる。教室のほつれたカーテンを補修し、担任の教師に褒められたことが忘れられない。「他にとりえのない子でしたから、本当にうれしかったんです」
結婚後も、娘の昼寝用の敷物や洋服など、様々なものを手作り。その品は今も、形を変えて残している。
諸星さんは「モノであふれている時代だからこそ、多くを求めず、あるものを大切にしながら楚々として暮らしていきたい。両親から教わったのは、裁縫だけでなく、そのような生き方だったと思います」と笑顔。
裁縫の依頼や、針教室については諸星さん【電話】045・812・8943へ。
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4月18日