横浜市が昨年度から実施している「救急搬送受入病院連携支援モデル事業」に国立病院機構横浜医療センター(原宿)が新たに参加することがわかった。開始時期は10月の予定。近隣の5病院と連携し、救急困難事案の解消を目指す。
救急困難事案とは、いわゆる「たらい回し」の状態のこと。救急隊が現場から患者の搬送先を選定する際に、電話照会回数が5回以上となる場合を指す。市の統計によると、昨年の救急搬送件数は14万6533件。そのうち電話照会回数が5回以上となったのは2726件で、半数以上が生命の危機を伴う「重症・重篤」の患者だという。また現場到着から搬送開始までの時間が年々伸び、30分以上となったケースが全体の10・3%とも発表されている。受入できない理由としては満床で対応ができない、当直医の専門外の症状、対応できる病院が少ない症状等があり、環境が整っていない場合が大半だという。
この問題を解消するため、昨年11月、済生会横浜市東部病院(鶴見区)から始まったのがこの事業。救急搬送患者の受入実績が多く、環境も整っている病院に市が協力を依頼している。受入後、長期的に治療が必要となった場合にはある程度回復した後、連携する病院に転院し、満床を防ぐ。
12月からは昭和大学横浜市北部病院(都筑区)、横浜市立市民病院(保土ケ谷区)も参加している。
10月から開始へ
横浜医療センターも市からの要請を受け、地域の安心・安全が高まることに貢献したいと参加を引き受けた。戸塚区内の昨年度の搬送困難事案は59件。受入先がなかなか見つからず、同センターに到着したときには症状が悪化していたケースも実際にあるという。救命救急センター長の古谷良輔さん(51)は「これからは病院が見つからないということが無くなります。必ず受け入れますので、安心してください」と話す。今回、転院先として連携するのは生協戸塚病院(汲沢町)、西横浜国際総合病院(汲沢町)、日立横浜病院(戸塚町)、横浜いずみ台病院(泉区)、横浜舞岡病院(舞岡町)の5病院。幅広い症状に対応できる総合病院と安定期に入った患者を受け入れられる中・小規模の病院、それぞれの得意分野を生かす。「これまで病院はバラバラに動いていましたが、今回の事業を機に、総合病院から個人の開業医、在宅治療まで地域全体の結びつきを強め、医療の輪を作っていきたいと考えています」と古谷センター長。超高齢社会となり、医療需要も高まってきている現代。今後も連携の範囲を広げ、総合病院の医師が訪問治療できるような新たな医療の形を目指す。
戸塚区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>