火災から再建した品濃白旗神社の宮司 椎木 葉子さん 南区在住 56歳
お宮が栄えると町も栄える
○…不審火による社殿焼失から約5年の歳月がかかった。火事発生の電話が鳴ったときは、本務神社の中村八幡宮(南区)で年末の仕事に追われていた。「連絡を受けて急いで車で向かった。着いたときはすでに鎮火していたけれど、焼け落ちた様子を見て愕然とした」。風が少なく、山火事まで発生しなかったのが不幸中の幸いだった。年明けから再建に向け地元有志らによる委員会が発足。目標を上回る寄付金が集まった。「ほっとしたというよりはこれからが大変。職員皆で力を合わせなければ」
○…山口県出身。生家は一般家庭だったが、信心深かった祖母や母に付き添い、幼いころから神社や寺には参詣していた。30代半ばのとき、姉の嫁ぎ先の神社を義兄の誘いで手伝うことに。「昔から参詣はしていたけれど、その理屈は知らなかった。勉強するいい機会だと思って」。シンプルな気持ちで神職の道へ飛び込んだ。
○…神職の資格を取得後、義兄と義兄の長兄に付いて修行の身に。年末になるとお札配りを手伝い、多くの神社を回る道中で神社の面白い話をたくさん聞いた。「お宮が栄えると町も栄える」。印象に残っている師匠の言葉は、今も心の柱になっている。神道を学ぶ中で日ごろ見過ごしてきた、日本文化や風習、日本人の奥ゆかしさにも改めて気づかされた。
○…10年ほど前に師匠たちが相次いで急逝し、6社の宮司を任せられることに。「自信もないし、重責だったけれど前に進むしかなかった」。老朽化の整備に15年かかった中村八幡宮や、品濃白旗神社の再建など多忙を極める毎日だ。「品濃白旗神社が新しく来た多くの住民にお参りしてもらえ、栄えるように頑張らなければ」
○…仕事がきっかけで、8年ほど前から雅楽奏楽のために笙(しょう)を学ぶ。「練習不足でなかなか上手くならなくて、まだ趣味の範囲」と笑う。仕事でいつか吹けるようになるのが目標だ。
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4月18日