少年剣道の全国大会に出場する神奈川戸塚道場少年の部の監督 槌田(つちだ)和博さん 汲沢在住 42歳
成長は厳しさにのみあり
○…3年前から監督を務める神奈川戸塚道場の少年部が、全日本剣道道場連盟主催の神奈川県大会で優勝。全国大会へ駒を進めた。勝者数で勝敗を決する団体戦。「全国で5本の指に入る実力」と全幅の信頼を置く大将につなげば必ず勝てると、先鋒から副将にはあえて引き分けを指示することも。少年剣道とあり、勝利だけ目指す戦い方には批判も受けるが、「吸収力が高いうちに優勝を経験させたい。それが自分の大きな自信につながるから」。
○…熊本市出身。5歳で母親の勧めにより剣道の道へ。才能はすぐ開花し、小学6年時に日本一に輝くと、高校は熊本県内の剣道強豪校に進学。大将として出場した全国大会の団体戦で準優勝を果たした。だが、楽しかった思い出は皆無。「サッカーが静岡なら剣道は熊本」という土地柄もあり、幼児にも周囲の指導は容赦なく厳しい。寮生活で剣道一色の高校時代は、先輩との会話で許されるのは『はい』『いいえ』のみ。剣道界で著名な「鬼コーチ」の熱血指導が脳裏に焼き付き、今でも会えば背筋に緊張が走るほど。「怖くてやめられなかったのが本音」。数々の大学からの誘いを断り、高校卒業後に上京した。
○…とはいえ、就職した都内の中小企業でも続けた剣道。実業団の大会でも好成績を残した。社会人となり約20年、あのころの過酷な稽古に比べれば「仕事で辛いことなどない」。稽古後のビールが何にも代えがたいほどおいしいと感じられることも、今となっては剣道で得た収穫の一つだ。
○…「人生も折り返し地点。剣道で恩返しをしたい」と、2年前に指導員の資格を取得。週3日の稽古は心を鬼にして臨む。「厳しさの中にしか成長はない。それを子ども達に伝えたい」。1男2女の子育てもしかり。かわいさに甘やかしたくもなるが、厳しい世の中を生き抜く力を育むには子どもを甘やかすのは罪と感じる。とはいえ、「娘達には息子ほどはできないですけど」。
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4月18日