俣野町在住の作家・松山真子(まこ)さん(71)が、詩集「こんぺいとう」を3月に出版した。80編からなる同作品の登場人物は、すべて80歳以上。松山さんは実際に多くの「80代」にインタビューして、この作品を書き上げた。
一編200字程度の物語は80歳以上の男女による「独白」のようなスタイルで書かれる。登場人物は実在の人をもとにした創作で、ボランティアに精を出す男性や、マラソンが趣味の夫婦など、明るい表情が垣間見えるような作品が多い。
一方で、年齢を重ねると直面せざるを得ない「辛い現実」も描かれている。
「修行僧」という作品は、妻が認知症と診断された男性のストーリー。デイサービスやヘルパーに世話を依頼しても、妻は「おとうさんだけがいい」と言って聞かない。結局、家事などすべて自分が引き受けることにした、という内容だ。
社会問題ともなっている「老老介護」の現場。辛い現実があるはずだが、それでも、「つまがかわいかった かわいくって ついつい甘やかしてしまった」という言葉に、どこか明るい雰囲気が感じ取れる。
この詩集を読んだ60代の女性は、松山さんに感想を寄せた。「中身は暗い感じがするのに、なぜかカラッとしているのね。笑いもあるし、救われる」
「こんな80代に」
書き始めたきっかけは、テレビから流れた「現在の平均寿命は86歳」というフレーズだ。60歳で定年退職した松山さんは「あと25年、どのように生きていけばいいんだろう」という疑問を抱いたという。その後たくさんの「80代」に話を聞き、関連する本を読みながらイメージを固めた。
印象に残るのは野沢温泉の村役場で聞いた言葉だ。「ここの元気な高齢者はみんな毎日スキーしているよ」。「こんな80代になりたい」と強く感じたという。
松山さんは文学賞の受賞歴もある小説作家だが、今回は「気軽に、いろんな人に読んでもらえるように」と短い物語にこだわった。
「辛い経験を持ちつつも、前向きに生きる80代がたくさんいる」と松山さん。「これを読んだ人に『こんな生き方もあるんだ』『こうなれたらいいな』と感じて貰えれば」と願いをこめる。
同作品は有隣堂・インターネット等で購入可能。税別1200円。
10人にプレゼント
同作品をタウンニュース読者10人にプレゼントする。希望者は〒住所、名前、年齢、電話番号を明記のうえ、〒244―0803戸塚区平戸町259 タウンニュース社「こんぺいとう」係へ。6月2日(木)必着。当選の通知は発送をもって。
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