ニットを通じて地域交流を育むニットアクセサリーデザイナー 小林 桂子さん 上倉田町在住 65歳
自らの手で生み出す喜び
○…この夏休みに上倉田にあるカフェ・コッチで子どもを対象にした編み物教室の開催を企画。コシノジュンコやヒロコ姉妹、高田賢三氏、山本耀司氏など世界で活躍する日本人デザイナーを多く輩出したファッション専門学校である文化服装学院で25年間、教鞭をとり今年3月に退職。これからはニット離れが著しい子どもたちに自分が長年やってきた「ニットを教える」ことを地域で取り組み、親しんでもらいたいと考える。
○…編み物は自分が娘時分には家庭科の授業で必ず習い、また地域には編み物教室などの嫁入り支度のための教室もあり、女の子にはとても身近なものだった。「その当時は嫁入り道具に家庭用のニット編み機を持参したくらい」と一家に一台あるのが普通。どこの家庭でも母親が家族のセーターやマフラーなどを編んでいたという。しかし現在は同校に通う学生に話をきいても母親がセーターを編むことは非常に少ないと嘆く。
○…北海道の高校を卒業後、同校に通うために上京、卒業後そのまま就職し、結婚を機に一度退職。子どもが小学3年生と幼稚園年長の時にご主人を亡くし、一家の大黒柱となった。退職後もニットに関わる仕事を続けていたため、直ぐに再就職先が決まったが心配なのは子どものこと。すると「父と母が、自分たちが営んでいた店をたたみ北海道から引っ越してきました」と今、振り返っても驚く早さだったと笑い「本当に感謝してもしきれないですね」と目じりを手で拭った。
○…先日、手芸用品店で小学生と見られる女の子たちが、毛糸のポーチを編んでいるところに出くわし「楽しい?」と声を掛けると満面の笑顔で「すごく楽しい!」と返答され「もう涙がでるほど嬉しかった」と非常に感激した様子。編み物は失敗がなく何度でもやり直しがきくのが魅力だという。「子どもたちに失敗を恐れず、自分たちの手で何でも生み出せるんだよということを、ぜひ伝えたい」
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4月18日