「クスッと笑えて少しゾッとするような、どこか謎めいた雰囲気」をテーマに、日々キャンバスと対峙する若手の画家が区内外で活躍している。それが、舞岡町在住のなかがわ寛奈さん(32)だ。なかがわさんはこれまで、幼い頃から好きだった食虫植物など「変わったもの」を取り入れた独自の表現で、多くの前衛的な作品を生み出してきた。自身の絵画は主に都内や市内のアート展で披露しており、2年前には「ふらっとステーション・とつか」でも個展を開催。現在、9月16日(土)から始まるAAA GALLERY(中区)でのグループ展に向け、さらに個性を剥き出しにした作品作りにまい進している。
「経験のなさ」乗り越えて
初めて絵筆を執ったのは26歳の頃。家庭内のトラブルに辟易し、故郷の富山県を飛び出して友人を頼りに戸塚に来てから3年後のことだった。「あの時はやり場のない気持ちや寂しさで胸がいっぱいになり、いつしか心の病に陥っていた」と振り返る。息詰まる日々の一方で「自分を変えたい」という思いが湧き上がり、以前から関心を抱いていたアートに自身の感情をぶつけてみようと決意した。
だが、それまで絵画の経験はゼロ。当初は「経済的にも余裕がなく、図書館で本を借りて独学で絵の勉強を重ねた」と苦労ばかり。「やっぱり辞めよう」と思うこともあったが、自身の心の悩みを作品に投影し続ける中で、徐々に共感を呼び起こした。そして28歳でギャラリーデビュー。以来、多くの人から上がる「不思議で面白い」「何だか幻想的」といった声が作品作りの原動力になっている。
自身にとっては第二の故郷だという「戸塚」をモチーフにした作品も考案中。「大踏切がなくなるなど、戸塚に来てから約10年の間にこの街は大きく変わった気がする。その変貌ぶりを自分なりに表現できれば」と夢を語る。
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