「NPO法人横浜マイスター友の会」の理事長に就任した 藤本 和子さん 小雀町在住 91歳
職人の「技術と人柄」伝えたい
○…日本文化を守る工芸師や一流ホテルの総料理長など、市内の優れた技能職者を横浜市が認定する横浜マイスター制度。市と連携して彼らを支援する「友の会」の理事長に就任した。知人の誘いで加入し約15年。厚い信頼を得て、会員一同から推薦を受けた。「私でいいのかなあ。でもなったからには頑張らなきゃ」。しとやかな語り口に、年齢を感じさせない情熱が見える。
○…主な活動は、技能職者が技術披露をする「マイスターまつり」や技術体験教室の企画など。多くの職人と会って感じる「一本筋が通った人柄」を伝えたいという。特にマイスターのひとりである表具師の姿は印象的だ。自宅の掛け軸の修復を依頼したところ、長い年月で完全に失われた色が鮮やかに蘇った。「書画の魅力を際立たせる素晴らしい仕事だと思った。表具師の名も、書画の作者と同じように(後世に)残した方が良い」という思いを伝えると、「職人の仕事は名前が残らないもの。それでもしっかり仕事をする」との応えが。謙虚に技術を追求する姿勢に魅了された。
○…名古屋市出身。結婚後は各地を転々とし、40代で小雀町に居を構えた。その後、民生委員の任を受ける。始めると介護の現場に多くの問題があることを知った。特に感じたのは、介護用衣類があまりに高額だということ。そこで洋裁学校で学んだ経験を生かし、介護衣類をつくるボランティア団体を発足。背中が曲がった人には特別に型をとり、徹夜で縫い上げたことも。「ぴったりの服ができたると、やったあという感じ。この経験が、職人さんを応援する思いにつながっている」と語る。
○…現在、熱海の老人ホームと小雀町の自宅を行き来する生活だ。穏やかな時間が流れる熱海も良いが、マイスターや仲間から得られるエネルギーこそが元気の秘訣という。「電車でこっちに向かうと、何かしなきゃという気持ちになれる。そんな毎日が楽しいです」
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4月18日