区民の思い乗せ、甲子園へ 石巻工応援募金222万円を贈呈
今月21日に開幕する第84回選抜高校野球大会に21世紀枠で出場する宮城県の石巻工業高校野球部を応援しようと、栄区と連合町内会をはじめとする区内の団体で組織した実行委員会は、2月初旬から応援募金への協力を呼びかけてきた。3月2日までの約1ヵ月間で集まった募金は222万4851円。尾仲富士夫区長や連合町内会の本多淳一会長、社会福祉協議会の野村政晴会長は6日に同校を訪問し、小黒秀紀校長に応援募金を直接手渡した。
昨年11月に本郷台駅前で行われた「キャンドルナイト」に物産展を出店したことから交流が始まった栄区と宮城県石巻市。尾仲区長はそのお礼をしようと昨年末、石巻市を訪れた。
その際、足を運んだのが石巻市内を一望できる「日和山」。市民の憩いの場でもある同所には、毎日訪れては震災の爪痕が残る市内を見渡し「がんばろう」と決心する高校生の姿があった。話しかけると、生徒は近くにある石巻工業高校の生徒で、野球部は春の選抜大会21世紀枠の候補になっていることを話してくれたという。「応援したいと思ったが、被災地を見たら、すぐに話す内容が浮かばなかった」と尾仲区長。
帰浜後、その思いを手紙で同校の校長に伝えたところ、出場が決まった同校から「遠征費等資金の工面が難しい状況にある」と返事があり、賛同する区内の団体とともに区民に協力を呼びかけ、募金での支援に踏み切った。
部員の7割が被災
秋季都道府県大会ベスト8以上の高校から各都道府県1校を高校野球連盟が推薦し、選考を経て決まる21世紀枠出場校。石巻工は東日本大震災の被災による困難な状況を克服し、宮城県大会で準優勝を果たした結果が評価され、選考委員全員一致で出場が決まった。
津波に襲われたグラウンドは部員自らが整備し、他の場所を借りることなく、震災1ヵ月後には練習を再開。部員31人のうち7割は親族や友人を亡くしたり、現在も仮設住宅で生活するなど、被災している。
「縁あれば栄区で野球を」
創部以来初の甲子園―。石巻市からも64年ぶりの出場で、被災者の希望と期待を背負う。同校は遠征費や応援グッズ、勝ち上がった際の滞在費などを考え5000万円が必要と試算。全校で応援に行こうと、同窓会を中心に支援を呼びかけ、ほぼ目標額に達した。
栄区の支援に対し、同校は「県外からまちをあげて支援して頂いたのは栄区のみ。感謝の気持ちでいっぱい」とコメント。
開幕は21日だが、同部は大地震から1年の3月11日に甲子園球場を訪れて発生時刻の午後2時46分に黙とうを捧げた。
応援募金贈呈のため6日に同校校長室を訪れた尾仲区長は「グラウンドを見て練習環境が悪いと感じた。金銭だけでなく、練習場所の提供もできれば良かったと思う。今後縁があれば栄区に来てもらい、栄区の子どもたちと野球を通した交流ができれば」と話した。
神奈川県からは横浜高が出場する今大会。組み合わせは今日、15日に決定する。
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