横浜市が子どもの貧困の実態把握のために、昨年初めて実施した市民アンケートの結果がまとまった。これによると、市内で相対的貧困の状況にある子どもの割合は7・7%で、推計4万4千人に上ることが分かった。
調査は昨年8月に実施。0歳から24歳未満の子ども・若者がひとり以上いる6000世帯を無作為抽出。44・3%にあたる2657件の回答を得た。貧困ラインを下回る世帯の子どもの割合は、国が相対的貧困率を算出する際の基準としている可処分所得額を基に算出。貧困ラインとなる所得水準は、世帯員の人数によって異なるが、世帯員が1人の場合は122万円、2人の場合は173万円となっている。
ひとり親世帯で高率
アンケートでは「子どもがいる現役世帯のうちひとり親世帯」の貧困率は45・6%で、ひとり親世帯の半分近くが貧困の状況にあることも分かった。
食料に関する状況でみると、ひとり親家庭では、必要なものが買えないことが「よくあった」「ときどきあった」と回答する割合が16・6%と高く、衣料に関しても同じ傾向にあった。アンケートは所得のみで見たものだが、ひとり親家庭の生活の安定と向上が子どもの貧困対策の1つではあることは確かだ。
こうした経済的貧困への支援策として、市では学用品費や修学旅行費、給食費などを援助する「就学援助制度」を既に設けているが、公にとどまらず、近年全国的にも注目される「こども食堂」を設置する動きがある。「こども食堂」は何らかの理由で、ひとりで食事をするこどもたちにバランスのとれた食事を低額で提供する場所。鶴見区にある駒岡地区センターが4月からオープン予定だ。「地域の居場所になれば」との思いもあり、オープンに向け、運営を担うボランティアや食材の寄付を申し出る協力者も揃ってきたという。
貧困状態にある家庭の課題は、ひとり親のほか、保護者の病気や障害などそれぞれ異なるのが現状で、市は貧困対策推進法の成立を受け、実効性の高い総合的な対策を進めるため、「子どもの貧困対策に関する計画」の素案を昨年12月にまとめた。計画では支援対象を妊娠期から20代前半までの子ども・若者とその家庭としてとらえた上で、総合的な環境整備をめざしている。今後、募集した市民意見をまとめ、3月までには策定する予定だ。市担当課は「関係局や機関等と連携し、計画の事業や支援が必要な子どもたちにしっかりと届くよう進めていきたい」と話している。
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