今月、金融機関で振り込め詐欺を抑止した件数が、金沢警察署管内で12件に達した。これは、横浜市内ではトップ、県内でも2番目の高い水準(表)。区内43の金融機関と警察との連携が、多数の抑止につながったという。
振り込め詐欺は近年手口が巧妙化し、県内では昨年に比べ被害件数が増加している。これを食い止める最後の砦となっているのが、金融機関窓口での声かけによる抑止だ。
「多額の引き出しや口座の解約など、不審な点を見抜くセンスが重要」と話すのは、金沢警察署の栗山不二夫副署長。「抑止件数がここまでになったのは、なんといっても行員の意識の高さ。署との連携もうまくいった」と称える。
今年の春、被害件数が大幅に増えたことを危惧した金沢署は、金融機関向けの講習会を4月に実施。8月には各金融機関に1人ずつ防犯指導員を任命し、さらなる意識づけを行った。これに加え、未遂を含む振り込め詐欺の発生情報を金融機関に随時一斉ファクスするなど、金沢署独自の手法で情報共有を徹底。この結果、昨年わずか1件だった抑止件数が12件に増え、合計で5000万円近い財産が守られた。
このうち、3回の抑止に成功した三菱東京UFJ銀行金沢文庫支店の末次卓二支店長は、「年金支給日を中心に警戒を強めていた。行員らの声かけの徹底が抑止につながったのでは」と話した。
しかし金沢警察署管内では今年、21件5163万円の被害が出ており、昨年の額をすでに上回っている(表)。「残念ながら、被害をゼロにすることはなかなかできません」と同署生活安全課の上野義典課長。家族で合言葉を決めたり、日中でも留守電にしておくなどの対策を呼びかける。
年内最後の年金支給日となった12月15日には、横浜銀行金沢文庫支店前で振り込め詐欺抑止キャンペーンが実施された。金沢中の生徒らに加え「振り込まセンジャー」も参加し、チラシ配布や声かけに汗を流した。上野課長は、「最も重要なのは犯罪が身近にあるという認識。今後も周知活動を続けていく」と話した。
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