100冊の"患者"治した名医 金沢図書館で修理ボランティアが活躍
金沢図書館(泥亀2の14の5)では、本を修理する約10人のボランティアが、昨年6月から活躍している。月2回の活動で、これまでに100冊を超える本を修理し、生まれ変わらせてきた。
16万7千冊の蔵書を持つ金沢図書館では、軽微なものを含めると1日10冊程度、壊れた本が出るという。表紙から本体が外れたり、自然に綴じ目が緩んだり―いくら丁寧に扱っていても、本は徐々に傷んでしまう。昨年度までは図書館の職員が時間を見つけて修理をしていたが、他の仕事に追われて修理に手が回らず、作業が滞ってしまうこともあったという。
そこで昨年、修理を区民に手伝ってもらおうと、図書修理ボランティア養成講座を開催。希望者は多く、定員はすぐに一杯になった。「やっぱり本が好きだから、恩返しが出来ればと思って」とボランティアの女性は動機を話す。
ボランティアが修理するのは、本の解体が必要なほど「重症」な本ばかりだ。同図書館の司書・望月弘子さんは「一冊一冊、製本の仕方が異なるため、修理の方法もそれぞれ違います」と話す。司書とボランティアは、医師が患者を診るように本の症状を見て相談しながら適切な「治療法」を施していく。糸で新たに縫い直して綴じを強化したり、補強材を入れて貼り直したりと、その手法は様々だ。仕上がり具合を見ると、解体された本とは思えないほど。1冊修理するのに4〜5時間かかる場合もあるという。
「奥が深く、思うようには修理できないことも。でも、出来上がるとやっぱり嬉しい」とボランティアの女性は笑顔で話す。4月からは「もっと頻繁に活動したい」というボランティアの要望を受け、毎週の活動になる。
本泣き展 15日まで
だが、ボランティアの技術と情熱を持ってしても、どうしても修理できない本もある。例えば書き込みや切り取り、水濡れなど、利用者によって故意に汚されたものだ。望月さんは「もし、ページが破れてしまってもセロハンテープは貼らずに、そのままカウンターにお持ち下さい」と話す。
金沢図書館はこのような”泣いている本”を展示する「本泣き展」を4月15日(日)まで、ロビーで実施。「図書館の本は市民の財産。みんなが気持ちよく読書ができるように、大切に読んで欲しい」と呼びかけている。
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