神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

100冊の"患者"治した名医 金沢図書館で修理ボランティアが活躍

公開:2012年3月29日

  • LINE
  • hatena
真剣な表情で修理するボランティア
真剣な表情で修理するボランティア

 金沢図書館(泥亀2の14の5)では、本を修理する約10人のボランティアが、昨年6月から活躍している。月2回の活動で、これまでに100冊を超える本を修理し、生まれ変わらせてきた。

 16万7千冊の蔵書を持つ金沢図書館では、軽微なものを含めると1日10冊程度、壊れた本が出るという。表紙から本体が外れたり、自然に綴じ目が緩んだり―いくら丁寧に扱っていても、本は徐々に傷んでしまう。昨年度までは図書館の職員が時間を見つけて修理をしていたが、他の仕事に追われて修理に手が回らず、作業が滞ってしまうこともあったという。

 そこで昨年、修理を区民に手伝ってもらおうと、図書修理ボランティア養成講座を開催。希望者は多く、定員はすぐに一杯になった。「やっぱり本が好きだから、恩返しが出来ればと思って」とボランティアの女性は動機を話す。

 ボランティアが修理するのは、本の解体が必要なほど「重症」な本ばかりだ。同図書館の司書・望月弘子さんは「一冊一冊、製本の仕方が異なるため、修理の方法もそれぞれ違います」と話す。司書とボランティアは、医師が患者を診るように本の症状を見て相談しながら適切な「治療法」を施していく。糸で新たに縫い直して綴じを強化したり、補強材を入れて貼り直したりと、その手法は様々だ。仕上がり具合を見ると、解体された本とは思えないほど。1冊修理するのに4〜5時間かかる場合もあるという。

 「奥が深く、思うようには修理できないことも。でも、出来上がるとやっぱり嬉しい」とボランティアの女性は笑顔で話す。4月からは「もっと頻繁に活動したい」というボランティアの要望を受け、毎週の活動になる。

本泣き展 15日まで

 だが、ボランティアの技術と情熱を持ってしても、どうしても修理できない本もある。例えば書き込みや切り取り、水濡れなど、利用者によって故意に汚されたものだ。望月さんは「もし、ページが破れてしまってもセロハンテープは貼らずに、そのままカウンターにお持ち下さい」と話す。

 金沢図書館はこのような”泣いている本”を展示する「本泣き展」を4月15日(日)まで、ロビーで実施。「図書館の本は市民の財産。みんなが気持ちよく読書ができるように、大切に読んで欲しい」と呼びかけている。
 

解体する所から修理は始まる
解体する所から修理は始まる

金沢区・磯子区版のトップニュース最新6

「食」のシェア空間が完成

磯子区洋光台

「食」のシェア空間が完成

飲食店開業など支援

4月18日

障害者診療「限界近い」

横浜市歯科保健医療センター

障害者診療「限界近い」

二次機関拡充求める声も

4月18日

ランドセルを海外へ寄付

金沢区PTA連絡協議会

ランドセルを海外へ寄付

15の小中学校から352個

4月11日

公園すべて禁煙へ

横浜市

公園すべて禁煙へ

条例改正目指し、来春から

4月11日

4月から雇用率引上げ

障害者就労

4月から雇用率引上げ

市も企業啓発に注力

4月4日

磯子の小学生と交流

プロバスケ横浜BC

磯子の小学生と交流

初のホームタウン企画

4月4日

あっとほーむデスク

  • 4月18日0:00更新

  • 4月11日0:00更新

  • 4月4日0:00更新

金沢区・磯子区版のあっとほーむデスク一覧へ

イベント一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月20日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook