神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS

太ること勧めた恋歌 粽(ちまき)に使われた「チガヤ」の葉 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)

公開:2012年5月31日

  • LINE
  • hatena

 ”わけがため わが手もすきまに 春の野に 抜ける茅花(つばな)そ 食(を)して肥えませ”(万葉集)

 「あなたのために春の野で 手を休めずに摘んだつばなを食べてどうぞ肥ってください」という恋歌です。この時代は甘いものを食べて太ることが最高の贅沢だったようで、現代女性のダイエット志向に逆行しています。

 茅花とは「チガヤ」の花穂のことで、初夏に野原や公園、畦(あぜ)等の日当たりのよい草原に群生するイネ科の植物です。チガヤは銀白色の細長い穂を風になびかせ、綿毛状の種子を飛ばすので、初夏に吹く湿った南風を「つばな流し」と呼びます。チガヤはサトウキビの仲間で蕾の穂や茎、根茎に甘味が含まれていることから、上のような恋歌が詠まれたのでしょう。チガヤは昔の子どものよいおやつで、江戸時代には「つばな売り」まであったといいます。

 尖った葉は、邪気を払うと信じられていたため、各地の神社では、健康を祈願する大きな茅輪くぐりの神事が行われています。また5月の節句を祝う粽(ちまき)は、現在のようなササの葉ではなく、このチガヤの葉で包んだものが「茅巻き」と呼ばれていました。

 チガヤは、万葉集や古典文学等にもよく登場しており、春の「つばな」、初夏の「つばな流し」、夏の「浅茅(あさじ)」(チガヤの葉が群れている様子をいう)、そして秋の「草モミジ」と四季折々の言葉で表わされてきました。
 

医療法人社団 船洲会 船洲会歯科診療所

1962年に開業して以来、60年以上地域の歯科診療を担ってきた総合歯科診療所

https://rarea.events/event/196140

<PR>

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 3月14日0:00更新

  • 3月7日0:00更新

  • 2月22日0:00更新

金沢区・磯子区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

金沢区・磯子区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年3月28日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook