皿の代用品としても活躍 赤い新芽の「アカメガシワ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
アカメガシワは、春先には鮮やかな赤で染めた新芽がよく映えますが、夏になるとその赤も消えてしまい、目立たなくなります。またこの時期咲き出す花(雄花)も、穂状の淡黄色で地味です。
アカメガシワは新芽が赤いことと、カシワのような大きな葉をしているので、この名があります。カシワは「柏餅」に使う葉で、その語源は「かしき葉」といい、葉がしなやかで大きいため、食べ物を盛るのに都合がよく、古くから器として利用されてきました。
アカメガシワも同じように、古代から祭礼に御菜を盛る葉、「五菜葉」「飯盛葉」と呼ばれました。現在でも餅や菓子、飯等を包むのにカシワ、ホオノキ、サルトリイバラ、サクラ等の葉が使われていることはご存じのことと思います。
アカメガシワは明るい場所を好む、生長の早い落葉高木で、区内の山林で普通に見られます。森林が伐採され、明るくなった跡地に、最初に生育してくる木です。しかし近年この周辺では、広範囲の伐採が行われていないために、わずかな明るい場所を求めて生育している状態です。最近市街地の空き地、公園、街路樹の植え込み地等で多く見かけ、時には石垣の隙間や住宅の玄関先にまで、入り込んできていますので、注意して探してみてください。
秋には黄葉するので、春と秋の2回、美しい葉の変化を楽しむことができます。
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