第32回全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会の優秀作品がこのほど決まり、12月1日に西区で表彰式が行われた。このうち、富岡東中学校2年の佐藤菜乃花(なのか)さんの作品が最優秀賞(横浜市長賞)に選ばれた。その後進んだ神奈川県大会では最優秀賞、さらに全国大会でも奨励賞に輝いた。
このコンテストは、中学生に人権尊重の重要性への理解を深めてもらおうと、法務省が主催しているもの。市大会に5万5824編、県大会には7万3853編の応募があった。佐藤さんは、「半分の糸を一本に」と題した作品で受賞。2011年の「今年の漢字」となった「絆」をキーワードに、原稿用紙4枚にまとめあげた。
題材となっているのは、福島県に住む親せきの子「タカちゃん」。東日本大震災が起きた昨年3月11日に生まれた。出産後まもなく地震が発生。水も電気も絶たれ、食料の供給もままならない中、近所の人や友人ら、周囲の助けで小さな命は守られた。佐藤さんはこの体験から、一人ひとりが持つ「半分の糸」をつなげることが「絆」だとし、他人を思いやる気持ちが人権尊重につながることを説いた。
実体験 素直に表現
佐藤さんは、「(夏休みの)応募から時間が経っていたので、受賞を聞いたときはびっくりしました」と笑顔。また、1年半が経ち、被災地が忘れられようとしている現状に危機感を抱いていることを明かし、「これをきっかけにみんなに被災地のことを伝えていきたいです」と語った。
母・あゆみさん(45)は「夏休みに福島に行き、タカちゃんの体験を直接聞いた。そのことが心に深く残っていたんだと思います」と受賞を喜んだ。国語科担当の山岸和美教諭(51)も、「実体験に基づいた説得力ある内容」と評価した。
読書が好きで、小説などジャンルを問わず様々な本にふだんから親しんでいるという佐藤さん。文章を書くことは以前から得意だったそう。将来の夢を問うと、はにかみながら「女優です」と答え、「いろんな人に自分の気持ちを伝えられるようになりたい」と目を輝かせた。
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