春の七草の代表格 美肌をつくる「ハコベ」 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「君がため 春の野に出でて 若葉摘む 我が衣手に 雪は降りつつ」(百人一首)。春の七草摘みの様子を詠った恋歌で、摘んだ若葉は1月7日の「七草粥」に使われます。その代表となるものが「ハコベ」で、新しい年の初めに、いち早く地上に芽を出す若草に強い生命力を感じます。昔の人たちは、これを食べることで、その生命力が自分の体の中に入っていくと信じ、若菜摘みという風習が生まれました。春の七草では「ハコベラ」と表現されていますが、その語源は野原一面に繁っている(はびこる)からきています。
ハコベという種(しゅ)はなく、ハコベ類の総称で、区内には在来種のミドリハコベとウシハコベ、そして外来種(帰化植物)のコハコベとイヌコハコベの4種があり、明るい道端、公園、土手等で普通にみられます。
ウシハコベは茎の節や葉の主脈が赤褐色で、柱頭(雌蕊の白い先端)が5つに分かれています(写真参照)。ミドリハコベとコハコベは柱頭が3つに分かれ、ミドリハコベの方がやや大型で、イヌコハコベには花弁がありません。
ハコベには風邪、美肌クリーム、化粧水等の薬効が知られています。葉の粉を塩と混ぜた「ハコベ塩」を歯磨き粉代わりに利用しすると、歯茎の出血を抑える効果があるといいます。
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