世界ジュニアオリエンテーリングに出場し、区民栄誉賞を受賞した 千明(ちぎら)瑞希さん 六浦在住 20歳
「上位」こだわり叶えた世界
○…「本気で上位を目指せないならやめよう」。横浜市立大学の陸上部を退部したのは1年が終わる頃のこと。上を目指す人と、そうでない人―部内の温度差を感じていた。そのわずか1年4カ月後、世界の舞台に立つことになった。スロバキアで行われた、世界ジュニアオリエンテーリング選手権の女子日本代表選手6人に選ばれたのだ。納得のいく順位ではなかったが「まずは日本のライバルに国内の大会で追いつきたい」とあくまで前向き。この功績が認められ、今年1月、区民栄誉賞が授与された。
○…群馬県出身。中学、高校と陸上部で、中長距離の選手として活躍した。「授業で手をあげるのも恥ずかしかった」引っ込み思案な少女が、自らキャプテンに志願したのは高校生の時。「全国を目指すには自発性が大事だと、顧問の先生に気付かされた」と話す。今の自分があるのも恩師に恵まれたおかげと振り返る。
○…走力が生かせるのでは、とオリエンテーリングを始めたのは大学2年の春。主に山で開催されるこの競技は、地図とコンパス片手に決められたチェックポイントをまわるタイムトライアルだ。「陸上はがむしゃらに練習すればタイムが出たが、この競技は地形の特徴を見て遠回りでも走った方が早いのか、上下があるけど直線に進んだ方が早いのか組み立てるのが難しくもあり楽しいところ」。今は18人の部員とトレーニングに汗を流す日々だ。
○…その傍らで教師の夢を追いかけ、夏には教員試験を控える。出会ってきた恩師の影響だ。「注意された意味を考えさせ、行動させるような指導をしてくれた。私も成長を後押しするような教員になりたい」と強い思いを持つ。3月にはインカレのミドルリレーに出場する。去年初出場を果たし、メダルに一歩届かなかった大会だ。悔しさを胸にメダルを狙う。「やるからには上手くなりたいんです」。きらきら笑う瞳の奥に意思の強さを宿していた。
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