富岡東中村商店 会津産の米1tで支援 「おむすびアート」で安全訴え
渋谷公会堂前広場(東京・渋谷区)で3月11日、福島第一原発事故の風評被害が続く福島県産の農産物の安全を訴えようと、おむすび3万1100個を使ったアートが制作された。金沢区で米の卸売を行う中村商店(富岡東)は、このうち米1tを提供した。
「がんばろうふくしま」―中村商店の事務所に掲げられた文字。1980年から福島県会津地方の喜多方市で、農家と共に無農薬無化学肥料栽培米の「さゆり米」を育てあげてきた。
震災後、取引先は半数以下に減った。「悔しくて辛かった。福島の米でしょと、一括りにされる。会津は原発から直線距離で約110Km。津波の被害もなかった」と話すのは、同社営業一課の蔵野浩伸課長。福島県が行う全袋検査の他に、放射性セシウムの検出限界値を1ベクレル/kgまで下げて検査。安全を訴えるため「不検出」の事実と、産地情報を毎日のように取引先に開示した。それでも離れた客は戻ってこない。
蔵野さんは深刻な被害のあった南相馬市出身。姉や親族は今も仮設暮らしを続け、友人の遺体は未だ見つかっていない。「離れて見れば福島は福島。だけど会津には安全な米がある。それを知らせることがスタートだと思った」と訴える。偶然、慶応義塾大と福島大の学生が福島の現状を伝えようと「おむすびアートプロジェクト」に取り組んでいることを知ったのは昨年5月。米の提供を依頼され、迷わず快諾した。
当日、約10m四方に敷き詰められたおむすびが描いたのは、福島県以外の46都道府県の名産が手を繋いだ様子。中心はNHK大河ドラマの主人公で福島にゆかりのある新島八重。現地の声を伝えてほしいと、生産者も東京に呼んだ。用意されたおむすびは日付に合わせた3万1100個。米1700kgのうち、残りの700kgは喜多方市の業者が提供した。おむすびは来場者に無料配布された。
「まだまだ続きますよ」。蔵野さんがつぶやく。今後も会津の米の安全を訴え続ける考えだ。
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