記者が訪ねる かなざわの名刹 第22回 法爾(ほうに)山 天然寺
国道16号の旧道沿いを歩くと、民家の脇にその参道が現れる。山門をくぐると、境内の静けさに驚く。
創建は天文年間(1540年ごろ)。鎌倉にある大本山光明寺の僧・然誉禅芳の隠居寺として建てられたとされる。
江戸時代、瀬戸で起きた大火の延焼を受け焼失。関東大震災でも倒壊するなど、苦難も多かった。檀徒らの尽力で現在の本堂・庫裡が完成したのは、今から30年前のことだった。取材時も、境内には清掃に励む檀徒らの姿が。地域に支えられた寺の姿が垣間見える。
本尊は、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩の阿弥陀三尊立像。鎌倉時代の仏工・春日の作とされる。これに、善導大師像、法然上人坐像を加え、「阿弥陀五尊」と称されている。この2つの像からは体内文書が見つかっており、「慶長15(1610)年に、6代住職が679人の念仏講の衆によって逆修(生前供養)された」と記され、篤い信仰があったことがしのばれる。
【本尊】阿弥陀三尊立像
【宗派】浄土宗
【住所・電話】金沢区町屋町5の1 【電話】045・701・7598
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
|
<PR>
|
<PR>