ヨコハマから世界へ―連載 難民の「声」を伝える 【2】シリア支援団体 サダーカ
「革命」という名の紛争がシリアで勃発したのは2011年3月。未曾有の殺戮(りく)から逃れようと隣国・ヨルダンには今なお、多くの難民が流れ込んでいる。
政府軍に徴兵された息子をシリアに置いて逃げてきた父親、爆撃で足を切断され働き手を失った家族、両腕に子どもを抱えた母親―。住む家のない人々は、日雇労働をしながら家賃を稼ぐ毎日。子どもたちはジュースを売り歩いている。
横浜市神奈川区に事務局を持つシリア支援団体「サダーカ」(田村雅文代表)が立ち上がったのは昨年3月。田村代表が7月からヨルダン入り。メンバーもリレー形式で渡航している。 ヨルダンのシリア難民は約40万人。このうち難民キャンプに入れるのはたった2割だ。さらに1日2000人のペースで難民は増え続けている。寄り添うはずのNGOは物資の配給作業に追われ「話を聞く場合ではない」と根をあげていた。
同団体が支援するのは、キャンプに入れない人々だ。街の人々から情報を集め、支援を必要としている難民を探し出す。「難民が何を望んでいるのか、本当の声を聞こう」と一人一人と会話をし、日本で集めた募金や洋服などを渡している。
世論に訴える
「自由や民主主義なんてどうでも良い。ただ殺し合いが終わるのを願っている」―口を閉ざしていたシリア難民がぽつり、ぽつりと話し出した。「まず難民発生の根本原因である紛争を終わらせなければ」。これをきっかけに今年2月、世論に訴えようと「Stop killing in Syria」キャンペーンが始まった。「シリアに平和を」「武器を持ち込まないで」―、メッセージを掲げた写真や動画を、日本政府や世界のトップに届ける予定だ。
田村代表は「僕が住みたい社会は、平和だった頃のシリアのような場所。人のために何かすることを厭わない人、豊かな生活。無残にも今は、人の心も崩壊している」と訴える。「日本人は中東の人から尊敬のまなざしで見られている。欧米人には心を許さなくても、日本人には心を許すシリア人に多く会った。シリアで起こっていることを止められるのは日本以外にはないと思う」と話していた。
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