記者が訪ねる かなざわの名刹 第24回此木山(しもくざん)西方寺 寶蔵院(ほうぞういん)
漁師町として発展してきた柴町。その中心、東京湾を見下ろす高台に位置する。
江戸時代に火災に見舞われたため、この寺の創建を伝えるものはない。だが、本堂にある阿弥陀三尊像(横浜市指定文化財)の作風などから、鎌倉時代前期に興ったと考えられている。
山号の「此木」は、柴町の地名と関わりが深い。鎌倉時代末期、長浜で土石流が発生。かがり火を頼りに住民がこの寺の周りに避難し、やがて住むようになった。その際、山号の「此木」を取って「此ノ木(このき)村」とし、後に「柴」と称するようになったとされる。以来、漁民たちの篤い信仰のもと、寺が守られてきた。
施餓鬼法要などの行事のほか、毎朝の勤行で行うのは、「魚族群霊供養」。漁師たちの糧となる海の命に、祈りを捧げる。恵みの海に向けた感謝の心は、時代をこえて受け継がれている。遠く紀伊半島から移り、入住して約10年になる和田竜智住職は、「気さくな方々ばかり。皆さんに良くして頂いています」と話していた。
【本尊】大日如来
【宗派】真言宗御室派
【住所・電話】金沢区柴町214 【電話】045・701・6764
(資料・金沢区仏教青年会
「かなざわ霊場めぐり」1994年)
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