昨年11月、剣道八段に合格した高野道場(釜利谷東)館長の 高野力(ちから)さん 釜利谷東在住 49歳
打ち勝つ気持ちを追及
○…高野道場三代目館長。合格率1%、「日本一難易度の高い試験」と称される「剣道八段」に合格した。「七段の頃と何かが変わったというわけではない。八段としての修業はこれからです」と襟を正す。
○…初挑戦の時は「もしかしたら受かるかも」という自信があったという。しかし結果は不合格。その後の挑戦も不合格が続いた。「このままじゃまずいという思いが頭を巡った。何が足りないのか考えた」。辿り着いた答えは「絶対に相手に打ち勝つという気持ち」。徹底的に追求し、稽古に励んだ。そして4年越し、8度目の挑戦で狭き門を突破する。「試験では、知らない間に体が動き、技を出していた」――。「考える」打突ではない「無心」の打突。それが追及の先にあった境地だった。
○…初代館長の祖父は範士九段、県剣道連盟の元会長で、祖母は日本女性初の教士七段。両親も剣道人という家で生まれ、5歳から竹刀を持ち始めた。友人が遊びに出かける中「帰宅すれば剣道」という毎日。打突で首元に血が滲み、何十分と続く打ち込み稽古が原因で血尿が出た。「人に負けないような根性を身に着けた」と話す。その後名門・鎌倉学園高校、拓殖大学に進学し活躍。29歳の頃には県代表に選出され、全国優勝も経験した。「一人だけ苦しいと思えば稽古も辛い。仲間に恵まれたから一生懸命に励むことができた」。仲間こそ、剣道を通して得られたもので最も大きいものだという。
○…温和な語り口調も、稽古の時はぴんと張りつめたものになる。「同じことを何回も注意させるな」「怠けようとするな」。激しい檄(げき)の端々には、門下生を想う気持ちが表れる。「自分の成長の為と思って稽古しなさい」。その言葉ひとつひとつに、「正しい心と強い身体を持つ立派な剣士に」という願いが込められている。指導者として、一剣士として、絶ゆまぬ成長を自身に課しつづける。
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