今年4月、神奈川県立循環器呼吸器病センターの所長に就任した 中沢 明紀さん 泉区在住 59歳
地域に頼られる病院に
○…昨年から今年にかけ、神奈川県立循環器呼吸器病センターの専門性を生かした3つのセンター(肺がん診療包括支援、気胸、心房細動)が相次いで立ち上がった。「(病院の)名前からは分かりにくかった診療内容が伝わるのでは」と柔和な笑顔で話す。医師・看護師だけでなく、専門性を持ったスタッフの力を結集したチームで治療にあたり、「常に患者さんに温かい病院でありたい」と願う。
○…高校時代、無医地区で活動した医師の本に感銘をうけ、医師の道を志す。横浜市立大学医学部で勉学に励む一方、6年間を通して学生赤十字奉仕団に所属。夏休みは山梨県や福島県の医師の少ない地区を訪れ、健診や往診を行った。「お礼に農作物をもらったこともあったなあ」。生活に密着した健康指導で、地域医療の面白さを肌で体験した。驚いたのは当時、横浜では少なかった寄生虫感染者の多さ。「衛生環境が大きく違った。医学だけでなく生活環境の改善も必要だと思った」と振り返る。
○…総合医を目指しつつ、「とりあえず」で選んだ小児科で新生児医療に携わった。「小さくても一生懸命生きようとしている。その力をいかに手助けするかを心がけた」。術後は目が離せず、最低1週間は病院に寝泊まりするハードな日々。「でも元気になって保護者から手紙をもらうと、やっていてよかったと思ったよ」。やりがいを力に、仕事に没頭した。
○…小児科臨床でも、そのあと務めた県保健福祉局でも重要性を強く感じたのは「地域との連携」だ。新所長就任後、大学病院や開業医院を訪れ同センターに求めることを聞いてまわった。「金沢区でこの病院の良さをどう生かすかが課題。開業医さんから安心して任せてもらえる存在になりたい」。目下の心配は社会人となった独身の2人の娘。「小児科医だったので、子どもは大好き。早く孫が見たいんですが…」と親の顔を覗かせた。
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