昨年1年間の認知症の行方不明者が、全国で1万人以上にのぼると警察庁が発表し、社会問題化している。保護されても身元が言えず、仮名が与えられ、高齢者福祉施設で過ごすケースも相次ぐ。金沢区の実態を取材した。
金沢警察署によると、認知症などを原因として警察に保護される高齢者の数は、今年1月から5月までの間に87人にのぼった。2013年は151人で、12年は172人。毎年100人以上の高齢者が保護されている。
通常、警察が保護した高齢者は名前や住所などを本人から聞いたうえで家族に引き渡すが、認知症などが原因で身元を自分で言えない場合は、区役所に引き渡している。さらに区役所の調査でもわからない場合、高齢者福祉施設へ身元不明者として引き渡すこととなるが、区内の実例はないという。
情報提供で身元捜し
徘徊高齢者への対策として区は2006年から、金沢警察署と連携し「はいかい高齢者SOSネットワーク」という事業を実施している。
徘徊のおそれがある高齢者の個人情報や背格好、顔写真を、家族が事前に登録。万が一行方不明になり、警察への届け出があった場合には、交通機関や民間機関、福祉関係施設など37機関(14年3月末日現在)に対し、登録内容や失踪時の身なりなどの情報を提供する。同事業は各市町村で実施されており、自治体相互の協力も含めて、より早期の発見を目指している。
このシステムが機能し発見に結びついた案件は毎年約10件程度あり、区内で届けがあったものについては、すべて解決に結びついているという。
厚生労働省研究班(代表者/朝田隆筑波大教授)の推計によると、65歳以上の高齢者のうち認知症の人は15%。これをもとにすると区内の認知症患者数は約7000人と推計される。同事業への登録者数は昨年度末時点で67人。区内認知症患者の約1%が登録している計算になる。
区福祉保健センター高齢・障害支援課の塩田洋司課長は「認知症がすなわち徘徊の可能性があるとは言えないが、もしご家族の方で不安のある場合は、ぜひご利用いただきたい」と話している。
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