災害発生時に地域防災拠点の状況把握を迅速に行い、必要な支援につなげるための避難所状況可視化アプリを活用した避難訓練が2月15日、西大道町内会(佐波弘之会長)で行われた。地域の訓練に同アプリが使用されるのは全国で初めて。金沢区は今後、導入も含めアプリ開発チームと検証を進める予定だ。
区は現在、ICT(情報通信技術)を活用した地域課題の解決に取り組んでいる。今回用いたのは、避難所情報可視化システム「Sherepo2(シェレポツー)」。1月に区が開催したアプリコンテスト受賞作品で、各避難所からスマートフォンなどでアクセスすると避難所の食料、物資、衛生や医療環境、収容人数などを災害対策本部に報告できる。本部は地図上に自動的に集約された情報をもとに、状況を把握し各所に必要な支援の判断ができる仕組みだ。
大規模な被害に見舞われた東日本大震災発生時には各避難所の状況が掴めず、支援物資の不足や偏りなどの問題が多く生じた。開発チームのリーダーで東京大学公共政策大学院非常勤講師の平本健二さんは「これまで手作業で連絡していたことがアプリで効率化できる。電話やファクスが通じない場所でも電池があれば報告できる」と話す。
実用化に向け改良
訓練は同町内会が毎年行う防災訓練で実施。区内南部の避難所13拠点から大道中学校に設置された本部に報告する設定で行った。
朝8時50分に一部地域で震度7を観測する地震が発生。同町内会では、訓練に参加した205人が記入した避難者カードをもとに状況を報告した。残り12拠点分は担当者がダミー情報を通知。本部にあるスクリーン上の地図に13カ所の旗が立ち情報が反映された。通知は発災時の午前10時、翌日の午後6時、翌々日の同刻、6日目の同刻の設定で行われた。
訓練終了後に行われた振り返りでは「正しく報告されたか確認がほしい」「(本部では)緊急度によって旗が色分けされるのは良いが、食料や医療などの細かい項目もひと目で危険度が分かれば」という声が上がった。区担当者は「災害時には迅速確実に情報を集める必要がある。その一つの手段としての導入も含め、今後、実用化にむけ開発チームと検証を進め改善していきたい」と話す。避難者カードの記入をいち早く取り入れるなど、より実践的な訓練を行ってきた同町内会。佐波会長は「現場で試して課題が顕在化して良かった。実践的なアプリで将来性があるので、意見を取り入れてもらいより良いものになれば」と話していた。
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