龍華寺(洲崎町)の地蔵堂には毎月第3水曜日、桑名精さん(89/釜利谷西在住)の古典の講義を聞きに約30人が集う。現在のテーマは「徒然草」。かつて逗子開成中学校高校(逗子市)の教諭だった桑名さんは張りのある声で原文を朗々と読み上げ、ユーモアを交えた語り口で解説する。現代語訳のテキストはすべて手書き。用語説明や背景なども記してある力作だ。受講生の中には、昔の教え子も少なくない。わずか3年ほどの教諭生活だったが今でも親交が深く、「お誘いがあればどこでも行きます。旅行もずい分一緒にいきました」と目を細める。
桑名さんが龍華寺で講義をするようになったのは、約10年前。地蔵堂の建て替えに際し、和田大雅住職に「講堂を使って何かやってくれないか」と頼まれたという。そこで定年後から、俳句仲間に地区センターで万葉集を教えていた桑名さんは、平家物語を題材に講義を始めた。「最後まで飛ばさず5年かかった。やっと終わると思ったけど、次は次はとせがまれて」。気が付けば、10年以上が過ぎていた。
「息子が定年を迎えた時、年をとったんだなぁと思いました」とぽつり。徒然草は今年の秋で終わる予定だ。「我ながら、ボランティアとしてよく尽くしたと思う。もう十分」と笑った。
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