金沢区はこのほど、災害などの緊急時の情報を電話で一斉伝達し、回答を一斉集約できる「緊急時情報伝達システム(※)」を導入した。2月24日には、システムを利用した区民との訓練を全国で初めて実施した。
今回の訓練は台風が接近し、区が避難勧告を発令する想定で実施。区内173人の自治会町内会長のうち、事前にシステムに登録した143人へ、午前10時から一斉に、電話を通じて情報が発信された。
六浦地区連合町内会長の興津昭夫さん(85)宅でもこの訓練が行われた。「避難勧告の発令予定です」という自動音声に続けて「町内会として避難所を開設できるかお答えください」という質問が流れた。興津会長は電話機の番号を押して回答を行った。
システム導入のきっかけは昨年10月の台風19号接近。避難準備情報などの連絡は、まず区が連合町内会長へ伝え、さらに連合町内会長が単位自治会町内会長へと伝えていた。伝達に時間がかったことから「各自治会町内会長へ直接連絡が欲しい」という要望があがっていたという。
興津会長は「電話がつながらない場合はFAXをするなど、手間と時間がかかっていた。システムを使えば時間を大幅に節約でき、避難所開設などに充てられる」と感想を話した。
各会長からの回答は区役所で即時に自動集約。143会長のうち9割強から「電話に出た」という信号が得られた。一方、操作方法や質問内容に戸惑うなどで、有効な操作ができたのは75人にとどまった。今後区は、各会長にアンケートを実施し検証を行っていく。
「地域ごとの伝達」必要
昨年の台風19号の際、区は避難場所を示したチラシのポスティングなどの対策を行った。「台風は進路が予測できるため、事前周知ができた。集中豪雨や土砂災害、津波などの場合は事前の周知は難しい」と区総務課の栗原敏也課長は話す。「緊急の周知が必要な場合にこそ、このシステムが重要になる」という。
さらに「地域ごとに伝える情報を変えなければならない」とも強調。「崖のそばの住民と海の近くの住民では必要な情報は違う。誰にどんな時、どういう情報を渡すべきかを、住民の方々とともに考えていきたい」と話した。区は今後も訓練を継続し、システムの応用を模索していく。
※緊急時情報伝達システム…1秒に1回発信可能。作動中は通常電話の回線は塞がらない。災害情報をはじめ、凶暴犯の逃走、感染症情報の発信などを想定。発案者は、世界防災減災ハッカソンで優秀な成績をおさめた「株式会社137」。
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