物語でめぐる金沢 第三章 『横浜八景島殺人ワールド』(斎藤栄著 徳間文庫)文・協力/金沢図書館
著者は横浜市役所に勤務していた1966年に『殺人の棋譜』で第12回江戸川乱歩賞を受賞しています。72年に退職して作家業に専念しますが、『新横浜殺人旅行』『横浜みなと未来殺人事件』『横浜中華街殺人事件』『横浜ベイサイド殺人事件』など横浜を舞台にした数々の小説を書いています。
この作品の出版は93年12月。同年5月にオープンしたばかりの横浜・八景島シーパラダイスが舞台です。主人公の柏木陽一は千葉県柏市の病院の院長です。「タロット日美子シリーズ」でおなじみの妹の二階堂日美子の紹介でお見合いをすることになり、「最近、横浜ではベイブリッジと、ランドマークタワーと、そしてこの八景島のシーパラダイスがカップルに人気なのよ」と言う妹の薦めで、お見合いの場所を八景島に決めます。
アクアミュージアムのエスカレーターからの眺めを満喫し、レストランでエスニック料理を食べて楽しんでいるさなか、お見合い相手の和代が死体を発見します。そればかりか、その死体が和代の父のライバル政党の息子だったため、殺人の疑いまでかけられてしまいます。
複雑な推理を解きながら斎藤栄の世界を味わうのはもちろん、八景島の地図や景色を頭に浮かべながら読むのも、もう一つの楽しみ方ではないでしょうか?
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