季節の花【4】「タンポポ」の競争 外来種の侵略で純国産種が減少 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
東京から九州の小学校へ転勤した教師が、子供たちにタンポポの絵を描かせたところ、どの子も白い花で描いていたので、「タンポポの花は白ではなく黄色だよ」と諭しました。すると子供らは「先生、目がおかしんじゃない?」と笑ったという話がありました。
確かに戦前の関東周辺では、在来種・外来種問わずほとんどが黄色い花で、西日本では逆に白花が多く生育していました。今では市内でも稀に白い花(シロバナタンポポという別種)を見かけることがあります。
街中で見られる種は外来種のセイヨウタンポポが多く、郊外へ出ると在来種のカントウタンポポが生育しています。花の外側の総苞片が反り返っているのが外来種で、反り返っていないのが在来種です。しかし最近はほとんどが両者の雑種で占めており、純粋な国産種及び外国産種が年々減少しています。
昔からの在来種がしっかり生育できる環境であれば、いくら強靭な外来種でも太刀打ちはできないはずです。都市部の自然破壊により、外来種の生存場所が確保されてしまったのです。外来種の拡大は、人間による環境破壊された面積に比例しているとも言えます。見方を変えれば、外来種は自然が破壊された都市部で、懸命に在来種の代役を担っているともいえます。
■訂正=16日号掲載の本コラムに間違いがありました。正しくは「ニリンソウの総苞葉は無柄、イチリンソウは有柄」です。
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