区内の街路樹【2】 別名が多い「ユリノキ」 種は自転・公転して落下 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
区内の街路樹で意外に多いのが、北米東部原産の「ユリノキ」です。アジア大陸では中国原産のシナユリノキが分布しています。6000万年前には北半球の大半に分布し種類も多く存在していたものが、その後寒冷期になり次第に南下。北米とアジア大陸に隔離分布されました。現存するのはこの2種ですが、化石としては日本を含めて16種が見つかっています。日本へは明治初期にアメリカから種子を導入し、新宿御苑で実生栽培しました。
初夏、樹上に直径5〜6cmで黄緑色のチューリップに似た花を咲かせます。そのため別名が「チューリップツリー」。葉の形が職人の羽織る半纏に似ているので「ハンテンボク」とか「グンバイボク」「ヤッコダコボク」「クラガタボク」(馬の鞍に似る)等いろいろです。果実の形から「ローソクノキ」とも言います。知人の高校教師が、生徒に別名を述べさせたところ「Tシャツの木」が多かったといいます。まさに半纏を知らない現代版ですね。
果実の中には翼をつけた種子が20〜30個あり、開くと種子が落下します。風に吹かれながら大きく弧を描き(公転)、しかも種子自身がくるくると回転(自転)しながら舞い落ちていきます。あたかも地球が自転しながら太陽の周りを公転しているかのように見えます。
区内での街路樹は釜利谷、能見台、並木、朝比奈、六浦、六浦等の各地区で見られます。
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