物語でめぐる金沢 『蕎麦屋の恋』(姫野カオルコ著 角川文庫)文・協力/金沢図書館
直木賞作家・姫野カオルコが”無冠の女王”だった頃の短編集。表題作である「蕎麦屋の恋」の舞台が金沢区です。
夢を捨て平凡な生活を送る男、秋原健一と、夢に破れ新たな道を目指す女、波多野妙子。思うに任せぬ人生の寂寥を抱える二人が金沢文庫で出会います。実は、同じ路線の快特で都内に通勤していた事がわかりました。品川から金沢文庫まで、海に関係した駅名があるのに海が見えないと書かれているこの路線は、もちろん京浜急行です。
二人は品川駅で待ち合わせて川崎駅で途中下車。蕎麦屋でせいろを食べながらテレビのクイズ番組を楽しみます。妙子が切実に求めるものは一緒にテレビを見る相手だったのです。そのあと二人はホテルの一室で、やはり時間いっぱいテレビを見て過ごしました。団欒、のようなものでしょうか、温かなつながりが感じられます。
品川、川崎、横浜、上大岡、金沢文庫など、私たちに馴染のある駅が多数登場します。
文庫版では他に「お午後のお紅茶」「魚のスープ」の二作品を収録。
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