昨年末に行われた「全日本フィギュアスケート選手権」。トップスケーターが集う憧れの舞台に、富岡中学2年の青木祐奈さんが立った。総合155・84点で16位。「出場は夢であり目標。良い経験になった」。ほろ苦いデビューをそう振り返るが、期待の14歳は最速で、夢を叶え始めている。
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「毎年テレビで見ていた光景。自分が出ている!」――コールを受け銀盤に飛び出すと、大観衆の声援と喜びに包まれた。「演技を楽しもう」。観客を楽しませるためにはまず自ら。いつも心におく信念だ。満足の演技に、SP(ショートプログラム)を終えると自然とガッツポーズが。この時点で9位につけた。
FS(フリースケーティング)は、浅田真央選手がソチ五輪でインパクトを残したラフマニノフ。「良い部分を取り入れ、自分のものにできるよう研究した」と話す。だが、武器の3回転ルッツ+3回転ループは回転不足に。転倒などのミスも重なった。「SPが良くても切り換えないとだめだ」。学びが多い大会だった。
「完璧なら堂々とできたが、恥ずかしかったかな」。滑走順上、浅田選手は自分の演技を見ていたはず。「真央ちゃんの滑りは大人で、もっと見たいと思わせる。ジャンプだけでなく、スケーティングでも魅せられるようになりたい」。悔しさや憧れを力に変えていく。
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キスアンドクライで見せる笑顔が印象的だ。だが「終わったら裏で大号泣」と笑う。悔しさ、泣き顔は人前で見せない。同世代で注目の白岩優奈選手、本田真凛選手とは大の仲良しだ。「優奈ちゃんはジャンプ全てを決め、真凛ちゃんは表現力がすごい」。スケートについて話すことはほぼないが認め、高め合う仲間だという。
原点となった、トリノ五輪の荒川静香選手の演技は時おり見返す。「今見ても感動する。それがスケートの魅力」。今度は自分が感動をつくりたい。その目標を叶えるように、「感動した」と声がかかることも増えてきた。学校では「1年生の女の子が、ファンですと手紙をくれたことが嬉しかった」と笑みがこぼれる。
「体力とジャンプの確率」。課題はすでに見つかった。ひとつずつクリアし、夢にまた一歩近づいていく。
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