季節の花【18】 七草粥の「ナズナ」 「先んずれば人を制す」の精神 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「ナズナ売り元は只だと値切られる」(江戸川柳) 江戸時代には、ナズナやセリ等を商いとして売り歩いていたようです。
ナズナは中国で古くから薬食として珍重されていたのが日本へ伝わりました。その後ナズナを中心とした野草を粥の中に入れて食べるようになり、「七草粥」が始まりました。
ナズナの由来は、朝鮮古語による発音「ナジ」から、古代日本でも「ナジの葉」という言葉を使っていたため、「ナズナ」になったと言われています。その他可愛らしいので「愛づる菜」、葉が地面を撫でるので「なで菜」、葉が縮まっている様子から「なづむ菜」、夏には枯れてしまうので「夏なき菜」等諸説あります。
また三角形をした果実が三味線のバチに似ていることから、別名「ペンペン草」といいます。学名は「羊飼いの袋」という意味で、聖書の中に出てくるダビデが巨人ゴリアテを倒すために、谷で拾った5つの石を入れた袋を指しています。
冬に入ると地上部は枯れロゼット状の葉を残して、冬の間も光合成をします。早春に一気に茎を伸ばし、周りの植物がまだ活動する前に、いち早く開花させる戦法を身に付けています。つまりロゼットは守りのためではなく「先んずれば人を制す」の如く、攻めのスタイルといえます。
次回の掲載は「ハナノキ」です。
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