物語でめぐる金沢 「金沢八景」「遊心庵」 鏑木清方著(『続こしかたの記』中央公論美術出版【1967】所収)文・協力/金沢図書館
金沢に別荘を所有していた近代日本画の巨匠・鏑木清方は随筆家としても有名です。随筆集『続こしかたの記』に、別荘「遊心庵」を入手する前後の事が書かれています。
「金沢八景」――子どもの頃から広重の風景画や江戸名所図会で金沢八景に親しみ憧れていた清方。大正七年七月、名所図会にも描かれていた旅館東屋に宿泊する事が出来ました。当時の東屋の二階から眺める入り江の風景や、金沢八景や能見堂の事が語られます。
そして、久良岐郡の金沢に強く心を惹かれるのは「京に田舎を求めたがる心からなのであろう」と述懐されています。
「遊心庵」――清方の金沢への憧れはいよいよ実を結び、避暑のために過ごす別荘を金沢の地に持つ事が出来ました。大正九年の春、深川佐賀町の米問屋が所有していた家屋を譲り受けたのです。
所在地は君ヶ崎。長い丘陵の外れ、下に稲荷の祠がある、と言うのは、今でも国道16号沿いにある「君ヶ崎稲荷神社」の事でしょうか。神社に続く低い丘とそこを下った一帯が敷地だったようです。遊心庵で過ごした日々の思い出、風景や交流した人々が映し出されます。
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