物語でめぐる金沢 『オウリィと呼ばれたころ-終戦をはさんだ自伝物語』佐藤さとる著(理論社【2014】)文・協力/金沢図書館
日本を代表するファンタジー「コロボックル物語」の生みの親、佐藤さとるさんは1928年横須賀に生まれ、10歳の時に横浜に引越してこられました。この本は、佐藤さんの終戦前後の約2年間を中心に綴られた自伝物語です。「オウリィ」というのは米軍基地の下働きをしていた時に付けられたニックネームで、梟の子供というほどの意味。「物語」と名付けたのは「ここに書いたことは九分九厘本当のことだが、わずかに創作部分が混じっている」(追記)からだそうです。
海軍士官の父をミッドウェー海戦で亡くした佐藤さんは、海軍水路部を志願するも健康問題で不合格となり、空襲、疎開、敗戦を経て、戦後の混乱の中、横浜のK学院工業専門学校に進路を求めます。このK学院は「……杉田のかなり先、もう少しで横須賀市にはいる、という手前の町にあった」、面倒見の良いミッションスクールと書かれています。区民の皆様にはおなじみの、現在の関東学院大学の前身です。
幼いころ見た、初山滋画伯のサイン絵『チッチャイ人』に心惹かれる等、後年のコロボックル物語誕生秘話に触れられるのもファンの方には興味深いのではないでしょうか。
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