季節の花㉗ 「シュウメイギク」 菊によく似た秋明菊 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「シュウメイギク」は中国原産で、属名「アネモネ」、英名「ジャパニーズ・アネモネ」、中国名「秋牡丹」と表し、江戸時代中国から観賞用として導入され、その後各地で野生化していきました。別名「貴船菊」、京都の貴船地方に多く生育し、貴船神社では10月9日の菊花祭に奉覧されます。
花は紅紫色〜白色といろいろあり、花弁がなく20〜30枚の萼片が花弁状(八重状)をしています。外側の萼片は緑色で厚みがあり、内側の萼片は大きく紅紫色です。原種は一重でしたが、その後変種の八重咲きができました。最近、他種との品種が多くつくられ、弁数少ない品種や、白色の一重品種等が多く栽培され、これらすべてがシュウメイギクで呼ばれ混乱している状態です。
ヨーロッパ南部から地中海沿岸には、別種の「アネモネ コロナリア」が生育しています。ギリシャ神話にはアネモネの伝説が多くあります。その一つを紹介しましょう。
キューピットの矢を胸に受けた女神ビーナスは、絶世の美少年アドニスに恋心を抱きました。ある日アドニスは猟に出て、猪に突き殺され、流れ出た血に染まった地面から、アネモネの花が咲き出しました。ヨーロッパの絵画でアドニスの亡骸の傍に咲いている赤い花があれば、アネモネの花で、死を暗示する花と言われています。
次回は「カツラ」の予定です。
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