名木古木【10】 金龍院の「エノキ」 信長発案の街道一里塚 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
昔の街道には一里(約4Km)毎に塚をつくり、エノキ(マツを代用することもある)が植えられていました。この一里塚にエノキを植えることを企画したのは、織田信長でしたが、日本橋を起点に設定したのは徳川家康だと言います。信長が家来に「よのきを植えよ」(余の木、適当な木)と命じたのを、家来が聞き違え、エノキが植えられました。
エノキは古くから天空の神々が降りてくる木とされおり、前川文夫によると、エノキに霊力を感じ道路の守護に奉られ、神が降臨する「タタエノキ」の代表的な樹木でした。そしてこのタタエノキの「タタ」が取れて、「エノキ」の名が残りました。
柳田国男の「神樹編」で、特殊な霊力があるといわれる理由として、ヤドリギがよく寄生するエノキに、不可思議な力を信じ、また幹には大きな空洞ができやすく、そこに神が宿ると考えたからだと述べています。さらに全国的に「ヨノキ」「ヨノミノキ」等と呼ばれており、嘉樹(ヨノキ→めでたい木)の意味をエノキの語源にしています。この他、名の由来に「柄の木」「枝の木」「餌の木」等あります。エノキは春に花が咲き、秋に小さな球形の赤褐色の実をつけ、暗紫色に熟すと干し柿のような甘味で、食べられます。公園樹や庭木として普通に見ることができます。
次回は「モミジバフウ」の予定です。
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