季節の花㉘ 正月の供え物に「カキ」 代々夫婦仲睦まじく 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
あけましておめでとうございます。
正月に因んだ草花をと考えましたが、ユズ、ウラジロ、ユズリハ、マンリョウ、ナンテン等はすでに本欄で紹介済みですので、「カキ」を選んでみました。「正月とカキ」にどんな関係があるのか不思議ですね。
正月の鏡餅は、基本的には供え餅にダイダイとウラジロが一般的ですが、地方によっては縁起物のユズリハ、コンブ、エビ、カキ等を飾る所もあります。カキの場合には、10個の串柿(干し柿)を左右に2個ずつと中央に6個を横にして飾ります。これは「代々夫婦仲睦まじく」(ダイダイが上に、左右2個づつで夫婦、中央に6個で仲六つまじく)と願い拝することからきています。他にその地方の特産物等を供えることもあり、様々です。
カキは別名「木まもり」といい、昔から木の上に1個残しておき、感謝と来年の豊作祈願としていました。また小正月(1月15日)には、「成木責め」というカキの儀式があり、「なるかならぬか、ならにゃ鎌を持ってぶち切るぞ」といいながら、鎌で樹皮に小さな切れ目を入れます。こうして来年の豊作を祈願します。昔話の「猿蟹合戦」に出てくる、「早く実が成れ、ならぬとちょん切るぞ」と蟹が責めるのも、この「成木責め」の影響かもしれません。
カキは日本原産で、学名の種小名に”Kaki”がつけられています。名の由来の一つは、紅葉と実の色から「赤黄(アカキ)」と呼ばれていたからです。
次回は「ビャクシン」の予定です。
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