並木第一小学校(川村真弘校長)の5年生は2月4日に行われた授業参観で、保護者らに手作りのおにぎりをふるまった。おにぎりに使われたのは、児童が1年をかけて育てた米や、昔ながらの方法で手作りした海苔。学校で学んだ成果を通して、家族に感謝の気持ちを伝えた。
「いらっしゃいませ」と元気に響く声。5年生71人が会場案内や接客係、おにぎりを作る係に分かれ、訪れた保護者をもてなした。この日ふるまわれたのは、”手作り”が詰まった「スマイルおにぎりセット」。あぶった海苔の上に丸く成形されたおにぎりをのせ、大根の漬け物やみそ汁もつけた。試食で味わったという直泰駕(なおたいが)くんは、「普通のごはんと違ってふっくら。海苔も海藻の味がちゃんとした」と笑顔をみせた。
「社会科で農業を勉強したことをきっかけに、総合学習の時間で米作りが始まった」と話すのは学年主任の落合陽香教諭。校舎裏のスペースを使い、昨年6月上旬に土をなめらかにする代かきから開始。田植えを行い、各クラスの当番が水やりや草取りなど交代で管理してきた。秋には2kgの米を収穫。「割りばしを使った脱穀やすり鉢と野球ボールを使った籾摺(もみす)りを自分たちで調べていたが、苦労した様子。食のありがたみが分かったと思う」。大切に育てた米だからこそ「おうちの人に食べてもらいたい」と、企画が始動した。
「地域を知って好きに」
「おにぎりなら、漬け物やみそ汁もつけよう」――。調べを進めるうちに見つけたのが、金沢区で昭和50年頃まで盛んだった海苔作り。NPO法人横浜金沢文化協会の協力を得て、授業参観前日の海苔作り体験が実現した。海苔切りから天日干しまで、昔ながらの技法だけでなく、埋め立てと共に海苔づくりが衰退した背景も学んだ。「こんなに建物が立っているのに、海苔を作っていたとは驚いた。自分の家も海だったかも」と宮田空くん。落合教諭は「いろんな工程を経て食卓にあがっていることを知れたのでは。また、地域の歴史を知って街を好きになってほしい」と期待をこめる。
田植えを始め、米が口に入るまでかかった時間は6カ月。交流学年の2年生が育てた大根は漬け物に、海苔作りで余った生海苔はみそ汁にと、授業の成果を余すことなく使った”手作り尽くし”のおにぎりができあがった。保護者の簑輪純子さんは「最初から作ってここまでたどり着いたのはすごい。私たちもしたことがないような貴重な経験ができたのでは」と話していた。
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