金沢区制70周年記念連載 「地元の歴史 振り返る」第3回 金沢文庫、称名寺と北条実時 文/NPO法人横濱金澤シティガイド協会本コラムでは2018年に金沢区が区制70周年を迎えるにあたり、シティガイド協会の協力を得て、地元の歴史を振り返る
京急金沢文庫駅の「金沢文庫」は鎌倉時代中期、金沢の地に北条実時が創建した現存する最古の武家文庫(書籍・文書およびそれらを入れる倉)の名称からとられている。
金沢文庫には、実時、顕時、貞顕、貞将の金沢北条氏四代に渡り収集された歴史、法律、文学書など二万冊近くがあり、中には国宝『文選集注』など中国の書籍を写した貴重品も多い。このため金沢文庫は、”東国の正倉院”とも称される。
称名寺は、実時が六浦庄金沢郷(現在の金沢区金沢町)に別宅を構え、母の七回忌につくったお堂が始まりである。その数年後、奈良西大寺叡尊の教えに感銘を受けた実時が称名寺を律宗の寺院に改め、孫の貞顕の時には、「称名寺絵図」にあるように浄土庭園仁王門など全容が整った。
実時は、源頼朝の妻政子の甥の子にあたり、若い頃から鎌倉幕府の要職に就き、三代北条泰時から八代北条時宗に至る六人の執権(将軍の補佐役)とともに政務に励む一方、中国の文人政治家・白楽天を敬愛し、白楽天が西湖に築いた白堤を連想させる瀬戸橋の基礎になる堤を築いた。
称名寺、金沢文庫はおよそ八百年の時を超えて貴重な文化を今日に伝える金沢の歴史の原点である。
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