6月13日に実施された平成29年度神奈川県県民功労者表彰を受賞した 小山 收一さん 金沢区柴町在住 79歳
次代のためにも農地守る
○…「(表彰は)とても嬉しい。でも、たまたま理事長をやっていただけで、やっぱり皆のおかげだね」とにこやかに話す。元理事長を務めた「横浜市金沢区柴土地改良区」は、自然豊かな柴地区に観光農園や市民農園を設置し農業振興を図る目的で1991年に設立。前身となる発起人会から参加し、基盤整備に尽力してきた。現在、99%の整備が終わり、柴シーサイドファームの農産物直売所や収穫体験には、地元民ら多くの人が訪れるようになった。約30年前に描いた「観光農業」のビジョンは着実に現実に近づいている。
○…柴町で半農半漁を生業とする家に育った。とはいえ収入のほとんどは夏の底引き網漁と冬の海苔業。「農業は自分の家で食べる程度。冬場は農地に耕運機で海苔を運んで干していた」と振り返る。だが農地は時代が変わっても災害など”もしもの時”に絶対に役に立つ――。だからこそ、「地元がしっかり良さを認識して大事にしないと。一度、住宅開発されたら元には戻らないから」と力を込める。
○…両親を手伝ううちに、自然と継いだ家業。「(漁業も農業も)15歳からずっとやっているけど、飽きたことはない」と言い切る。積み重ねてきた経験や、本や新聞からの知識が結びつき、「色んなことが分かってくる」という。農業をやってきて一番恵まれているのは、消費者がすぐそばにいること。「一生懸命やれば、すぐ売れる。もったいないことはできない」
○…みかんを植え始めたのは「3代前のじいさんがやっていたから」。今では300本のみかんを育てている。「団体がくると小さい畑には入りきらない。最後にもうひとふんばりして、みかん畑を増やしていきたい」と前を向く。「高校3年の孫が最近、『農大に行きたい』と言い出した」と嬉しそう。「やはり同じ仕事だと、助け合ってできるからいいね」。次代のためにも「人生は働いてこそ。休んではいられないよ」
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