高齢者の孤立が問題となる中、75歳以上のひとり暮らしの高齢者を対象にした横浜市の見守り推進事業が、全市で始まった。市から個人情報の提供を受けた民生委員が、訪問活動を通して高齢者の孤立防止に役立てる。
この事業では、今まで不可能だった市から民生委員・包括支援センターへの個人情報の提供が実現。地域とのつながりが薄いことなどが原因で見守りから漏れていた人に、支援を行き届かせることがねらいだ。実施に先立ち昨秋、能見台・富岡第一・釜利谷の区内3地区を含む9区25地区でモデル事業が行われた。
今年度は、対象となる区内約7000人に宛て、民生委員の訪問を知らせる個別通知をすでに送付。市から名簿の提供を受けた民生委員が、今月から担当地区毎に戸別訪問を行っている。11月末までに訪問を終え、相談支援や地域の見守り活動につなげていく。
担い手不足も
今回の事業の屋台骨を担うのが、区内269人の民生委員だ。自治会町内会からの推薦で選ばれ、地域住民の相談に応じたり、援助を行うのが主な役割。最も身近な地域福祉の「リーダー」だ。
「今回の事業で、民生委員が活動しやすい環境づくりが進めば」と話すのは、金沢区民生・児童委員協議会の浅井恵美子会長(75)。昨年実施したモデル事業では、これまで把握できなかった独居高齢者の支援拡充に一定の成果が見られたという。また浅井さんは、「75歳以下でも見守りが必要な人はいる」と指摘。将来的には対象となる年齢をさらに広げるべきとの考えを示した。
一方で、民生委員の負担感が増しているのも事実。区内では各自治会・町内会に1〜4人の民生委員がいるが、1人で500人程度を担当する委員もいるという。「地区によっては欠員が生じたまま後任が決まらないケースもある。少子高齢化で役割は増えているのに、担い手は減っています」と浅井さん。各種制度への知識が求められるうえ、無報酬のボランティアということもあり、なり手は容易には見つからないのが実情。今後は、市民への民生委員に対する理解や周知も課題となりそうだ。
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