金沢消防団の一員として45年に渡り地域を守ってきた小澤市三さん(瀬戸在住・70歳)が、2017年春の叙勲で瑞宝双光章を受章した。2010年から7年間は金沢消防団長として尽力。5月15日に東京都港区で行われた伝達式で、小澤さんに勲章が授与された。
瑞宝双光章は公務などに長年従事し功績を残した人に贈られる。今春は全国で1025人が受章。そのうち消防関係者は110人で、神奈川県からは唯一、小澤さんが受章した。初代団長を務めた父親と共に、親子二代で地域の安心づくりに貢献してきた。
「立派な章をいただき光栄。個人ではなく団の皆でもらった章」と笑顔を見せる小澤さん。「自分たちの街は自分たちで守る」という原点のもと、行政や自治会・町内会などと連携を強めてきた。「金沢区は支えが多い。大きな災害時のため顔の見える関係をつくろうと、行事などに参加させてもらっている」
父は20年指揮を執った初代団長。「六浦中学時代に東洋化工で起こった爆発は、窓ガラスが割れるほど。あれは怖かった」と振り返る。真っ先に決死隊を結成し、飛び込む覚悟で現場に向かったのが父だった。「男気があった。称名寺など貴重な場所が多い金沢区は特に、思いの強い人が多い」と話す。
だが東日本大震災以降、団員によく言い聞かせるのが「まずは自分の身を大切に」ということ。街を守ろうと犠牲になった何百もの同じ団員のニュースが胸を打った。「体調に不安があったり家族の安否がとれなかったりすると、活動に支障がある。まずは自分が生き抜かないと、誰も助けられない」。病を患った昨年3月末、同じ信念のもと「先頭には立てない」と退団を決意した。
46歳の長男も現在、小澤さんの出身の第7分団に在籍。「3代合わせて130年くらい」と笑う。「今は学生も女性も入団しているよう。自分の街は自分で守るという志の高い人が育てば」と期待する。現役は退いたが「章に恥じぬよう、男に生まれたからには真っ直ぐ生きたい」と襟を正した。
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