物語でめぐるわが街 『小栗往還記』 松本徹著文・協力/金沢図書館
説教節の代表作「小栗判官」。文芸評論家の著者が、絵巻『をくり』を中心に、物語を振り返りながら縁の場所を訪れます。
妻・照手姫の父に毒殺された小栗は閻魔大王の計らいで復活しましたが、墓から這い出た姿はまるで餓鬼のよう。見る事も話す事も歩く事もできませんでした。熊野本宮の湯に入れば元の姿になるというので、餓鬼阿弥と名付けられた小栗は車に乗せられ、道行く人々に引かれて熊野を目指します。
金沢区が登場するのは夫と引き離された照手姫の場面。父の命により牢輿ごと相模川に流された照手は、六浦の浜に打ち上げられ漁師の長の大夫に引き取られました。しかし彼女に悋気を起こした長の老妻に折檻された上、人買いに売り渡されます。
著者は金沢八景駅から、六浦の浜を訪ねます。照手姫を追ってきた侍女が絶望して身を投げたという侍従川を見、瀬戸橋を渡り姫小島へ。姫小島は、照手姫が長の老妻から松葉燻で責められた場所。老妻は、塩焼き小屋の棚に照手を乗せ、下の松葉に火をつけて燻しました。だが、観音菩薩の法力により照手は難を逃れたのでした。姫小島は土地開発に伴い消滅し、その後現在の川岸に再現されました。
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